ライター/角田真一

あなたは火災現場の悲惨さを知っているだろうか。焼け焦げた荷物の残骸だけではなく、かけがえのない命を失ってしまった遺族の悲しみがそこにはある。そんな火事現場の片付けは、どのように行われるのでしょうか。今回は、その実情をお伝えする便利屋アルファ渾身の現場レポートです。

焼け溶けたテレビ

■アパートで火災発生。女の子が犠牲に。

ある日、埼玉県桶川市のアパート一室で火災が発生した。この火事で、一世帯の部屋が全焼した。私達が依頼を受けたのはその部屋を片付けるという依頼だった。部屋の間取りは2DK。火災は部屋の一番奥にある6畳間で発生した。火災の原因は灯油ストーブ。近くにあったカーテンに引火し、室内は全焼した。もっとも悲劇だったこと、それはそこに住む中学3年生の女の子が逃げ遅れたことだった。

その日、女の子は風邪をひき学校を休み、自宅で寝ていた。母子家庭のその一家は母とその女の子、小学生の弟の3人家族。母は仕事へ、弟は小学校へ行っている時間の午後3時頃、火災は発生した。女の子はいつも2段ベッドの上段に寝ていて、弟が下の段。その部屋にストーブがあって、それが出火の原因らしい。女の子は火災に気づき玄関から外に出ようとしたが途中で力尽きたという。発見時、玄関のすぐ手前の廊下に倒れていた。

■火災の後片付けはどのように進めるのか?

私が依頼者から相談を受け、現場に着いた時一人の女性が待っていた。年齢は60歳くらいだろうか、手には軍手をはめて口にマスクを着け、顔は煤で汚れ真っ黒だった。彼女は焼け焦げた荷物を探る手を休めることなく上記の経緯を私に説明した。私への相談は焼け焦げた荷物の全処分であった。

ここで火災時の後片付けを大まかに説明すると、まず役所に罹災証明書を発行してもらう。火災が起きたことを証明する書類だ。これを持って管轄の処理場に申請し、片付けたい荷物を搬入する。

これが火災時の片付けにおける一般的なやり方だ。大規模な火災の場合は当然自分でやる人は少ないので、我々のような業者を頼ることになる。

この女性は女の子の祖母。目に涙を浮かべ私に経緯を説明しながら、焼けた家財を手にしては袋にそれを詰めるという作業を力なく続けている。

■火災現場での遺品整理に伴う苦痛とは

作業当日にも祖母は同じように軍手とマスク姿で立ち合い、私達と同じように荷物を掴んでは袋に詰めるという作業を黙々と続けている。私はその様子にいたたまれなくなって、近くにあった女の子の荷物であろう学校で使うノートやファイルの一部を祖母に渡して「これなんかまだ焼けてなくて、思い出になるんじゃないですか?」と言った。祖母は「そうね、ありがとう」とつぶやき荷物を手にし、段ボールに入れた。

私はその姿を見て、懸命に火を免れた荷物を探しはじめた。そして、見つけては祖母に手渡すという行動を繰り返していた。そんなことを1時間も続けていた時、祖母は私に話しかけてきた。「角田さん、そんなに思い出があったら余計につらい・・・」私は頭を殴られたような衝撃とともにハッとし我に返った。私が祖母から依頼されたことはこの部屋を片付けること。思い出の品を探すことではない。

祖母は私達に相談する何日も前から、一人、孫を失った喪失感と罪悪感のようなものに押しつぶされそうになりながら、ここにいたのだ。後から現場に来た私に同情され、思い出の品を手渡されて、いつまでこの場で苦しみ続けなければならないのだろう。

私は祖母の苦しい胸の内を小さく呟く言葉で思い切り脳みそにぶつけられた気がした。

■荷物を片付けても遺族の心は

そこから私は、最速での片付けをスタッフに指示し、その日のうちにほとんどの片づけを完了させた。

思い出になりそうなものはまとめて段ボールに入れ、不要であれば後日取りに伺いますと伝えた。荷物のなくなった部屋を見て祖母は少しだけホッとしたような表情を浮かべた。祖母は私たちに感謝の言葉を口にしてはくれたが、問題の一部が解決したまでだ。彼女の苦痛はまだまだ続く。

私にできることは精一杯のお悔やみを述べることだけだった。空になった部屋の玄関につづく廊下の前でスタッフ一同合掌。今、ご遺族の苦しみが少しでも和らいでいることを願ってやまない。

 

火災現場の片付け後

 

<今回の作業事例>
火災現場の不用品片付け
作業人員および車両:3名と2トントラックと軽トラック
作業時間:約8時間
作業料金:110,000円+消費税(処理費用は0円)
※火災時に発生した家財処理の費用は、今回のように手続きをすることで免除されるケースもあります。
 詳しくは各自治体にご確認ください。

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